2012年5月16日水曜日

濾材の種類 海水魚飼育のコツ


   海水魚は水の汚れに弱い
   海水は淡水よりバクテリアを育てにくい
   濾材の種類
    ウールマット
    スポンジマット
    サンゴ砂
    セラミックバイオ系濾材
   Q&Aコーナー

濾過方式が決まるとそれに使う濾材が問題になってきます。
小型の水中濾過器や外掛式濾過器の場合は、専用の濾材が決まっているものがほとんどですが、その他の方式の場合はもともと用意された濾材以外に濾材を変えて、濾過能力を高める工夫をすることが多くなります。
熱帯魚のような淡水による飼育では、特別に濾過能力を高めなくても飼育できることが多いのですが、海水魚飼育の場合はより能力を高めた方がうまく飼育できます。
それは飼育する生物が汚れた水に強いかどうかという問題と、水が濾過し易いかどうかという問題があるからです。

淡水魚は海水魚に比べて水の汚れに強いものが多いのです。
水の汚れとは見た目の汚れだけではなく、餌の食べ残しや生物の死骸などから生じる水の腐敗をいいます。
餌や糞や生物の死骸などは時間がたつと腐敗菌によって分解され、アンモニアなどに変化します。
腐敗菌は、バチルス菌などを代表とする物を腐らせていく細菌で、地上にも水中にもたくさんいるバクテリアです。
この細菌類は、タンパク質、炭水化物、脂肪などの有機物を化学変化させていくバクテリアですが、有機物の内、窒素化合物が分解されていくと最終的にアンモニアになります。
アンモニアは魚に限らず生物に対して害を及ぼし、体内に入ってやがて生物を死なせてしまいます。
このアンモニアに対しては、淡水魚の方が海水 魚より抵抗力があるものがほとんどです。
このことは、その魚の生息している環境の違いからそうなってしまったのです。

淡水魚は湖とか川に生息していますが、これらの場所は海の広さと比べると比較にならないくらい狭い場所なのです。
地球上の海の広さとそれ以外の川とか湖の合計の広さを比べると
海99.9% : それ以外0.1%  くらいの割合で比べものになりません。
海のように広いところで魚が糞をしたとするとあっという間に大量の水で薄まってしまいます。
でも湖や川のようなところだと、水が少ないため薄まり方が少ないのです。
そして最も水が少ない場所が、私達の使っている水槽です。
海の中では腐敗菌が次々とアンモニアを作り出しても、すぐ薄まってしまう(無害のアンモニウムイオンになっている)ので魚にアンモニアが影響することはまったくありません。
一方淡水域の場合は、水の量が少ないのでアンモニアに魚がさらされることがあります。
アンモニアに触れることを先祖代々経験してきた淡水魚は、それでも死ななかったものだけが現在生き延びているのです。
アンモニアに対して弱かったものは死に絶えてしま い、現在生きているものはアンモニアに強いものばかりです。
ただ、住む場所によりアンモニア濃度の高いところ、比較的低いところがありますので全部が同じ強さというわけではありません。
これに対し海水域の場合は、ほとんどが先祖代々アンモニアに触れないで生活してきたので、アンモニアに対しては弱いものばかりなのです。
また熱帯魚などは、ショップで販売されているかなりのものが、川や湖から採ってきたものではありません。
川や湖より遥かに狭いブリーダーの水槽で飼育されて増やしてきたものなので、さらにアンモニアに強くなっています。
それに対し海水魚は、淡水魚と違いブリーダーが育てて販売しているものはほとんどありません。
そのほとんどが自然の海から捕まえてきたものを販売� ��ています。
海水魚飼育は熱帯魚飼育より歴史が浅く、人工飼育する技術が発達していないのです。
このようなことにより、海水魚はほとんどのものが淡水魚よりアンモニアに弱いのです。


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アンモニアは生物を死に至らしめるものですが、生物がいれば(物が腐る元があれば)必ず腐敗菌が作り出していきます。
という事は地球上にはどんどんアンモニアが増えていき、アンモニアだらけになってしまうということです。
そして、全ての生物がアンモニアに触れて死んでしまうということです。
でも実際には生物は生きながらえています。
それは有害なアンモニアを無害な物質に分解してくれるバクテリアがいるからです。
生物が死ねば死骸を腐敗菌が有害なアンモニアに変えていきますが、同時にそれを無害な硝酸塩に変えていくバクテリアが次々とアンモニアを変化させていきます。
その微生物はニトロソモナスとニトロバクターという2種類のバクテリアです。
これらのバクテリアは硝化バクテリ� �(硝化菌)と呼ばれていて、酸素を吸ってアンモニアを食べて硝酸塩にしていくのです。
このバクテリアは酸素が無ければ生きていけない微生物なので、好気性バクテリアと呼ばれています。
自然界の海や川などでは、水に酸素がたくさん含まれていますので心配ありませんが、水槽のような狭いところではそうはいきません。
水槽では魚や微生物によって水の中の酸素は絶えず使われていきますので、酸素を次々と溶け込ませることがとても必要になります。
自然界では川の水が流れていくうちに空気と混ざり合ったり、海の水が波打っていくうちに空気と混ざり合ったりして酸素が不足することはありません。
でも水槽の中では川の流れも海の波も無いため、直ぐに酸素不足になります。
そのため水に空気を含ませ� ��方法として、エアーストーンを使ってぶくぶくさせることが良く行われます。
上部フィルターの場合は、水槽から水を汲み上げてその水を穴の開いたトレーに流し込んで、川の流れのような空気と触れ合う場所を作っています。
オーバーフロー式の場合は、水槽から濾過槽へ滝のように水を流して空気と触れ合うようにして酸素を取り入れています。
外部フィルターの場合は、濾過した水を水槽に戻すとき、穴の開いたパイプでジョウロのようにして流し空気と交じり合うようにしています。
水の中に酸素が溶けていることがとても重要ですし、濾過フィルターの中にいるバクテリアに水の流れが良くあたることが大切です。
流れがないとバクテリアは自分の周りの酸素を吸い尽くしてしまい、無酸素状態になってしま� ��からです。
常に新しい酸素を含んだ水を送って、酸素の無くなった古い水と入れ替えることが必要なのです。
アンモニアを無害な硝酸塩に変えてくれるバクテリアに働いてもらうためには、酸素をたくさん送る必要があります。
では、酸素は水にいくらでも溶けてくれるものでしょうか。
実は水に溶ける酸素の量は限界があって、温度により、淡水か海水かにより溶ける量が違うのです。
水に溶け込む酸素の量は淡水の場合、温度により次のように変わります。
淡水の場合で
      0℃    20℃    25℃    30℃    34℃
    14.16ml/L  8.84ml/L  8.11ml/L  7.53ml/L   7.13 ml/L

水温が上がるほど酸素は水に溶けなくなります。
そのため、水温が高くなるほどたくさん空気を送ってあげなくてはならないのです。
そして海水の場合は、淡水の80%しか酸素が溶けてくれません。
そのため海水魚飼育の方がたくさん空気を送ってあげなくてはなりません。
水に酸素をたくさん溶け込ませて硝化バクテリアに働いてもらい、アンモニアをなくしていかなければ、水槽で魚を飼うことはできないのです。
アンモニアは大変有害なのですが、とても水に溶けやすい性質を持っています。
そして、アンモニアは水に溶けるとイオン化して、アンモニウムイオンという形に変わりますが、実はアンモニウムイオンは無害なのです。
でも、全てのアンモニアが無害のアンモニウムイオンになってくれ� ��わけではありません。
水の中では、大部分がアンモニウムイオンとなるのですが、わずかにアンモニアの状態のものも残っていて混ざり合っています。
この混ざり合う割合は温度と pHにより違い、温度が上がるほどアンモニウムイオンになりにくくなります。

例えば pHが 7.8の場合、
温度が 22℃のときはアンモニアのままの状態は 2.8%で 97.2%がアンモニウムイオンになってくれるのですが
温度が 28℃のときはアンモニアの状態が 4.0%に増えアンモニウムイオンは 96.0%になってしまうのです。
温度が高いほどアンモニアの危険性が高くなります。
また温度が変わらなくても pHが上がるとアンモニアのままの状態が増えてしまいます。


どのようにショックアブソーバーは、マウンテンバイクでは動作しません

例えば温度が 22℃のとき
pHが 7.8だとアンモニアのままの状態は 2.8%ですが
pHが 8.4になるとアンモニアの状態は 10.2%に上がってしまいます。
pHが高いほどアンモニアの危険が高まります。

アンモニウムイオンになってくれないので温度が上がると魚は死にやすくなり、pHが上がると死にやすくなります。
淡水魚の飼育には弱酸性の水が適し、海水魚の飼育には弱アルカリ性の水が適していますので海水魚飼育では pH は高くなってしまいます。
このようなことから海水魚の場合は淡水魚と比べて、より硝化バクテリアに働いてもらわなくてはならなくなるのです。
そのため濾材は良いものが求められるのです。

  ウールマット

白い綿のようなマットでよく見るものです。
この濾材の主な目的は物理濾過で、水中のごみなどを除くことです。
上部フィルターなどで普通に使われていますが、ごみを取り除くほか硝化バクテリアの住みかともなります。
ウールマットにナイロンとかビニロックとかの青いマットを組み合わせているものもよくあります。
ウールマットにごみが溜まっていくと詰まりが生じ、だんだん水の流れが弱くなっていきます。
水の流れが弱るということは、酸素が運ばれなくなり硝化バクテリアが働かなくなるということです。
そのためこのマットは、定期的に洗って流れを良くしていく必要があります。
洗って流れが良くなれば何度でも使えるもので、汚くなったから新しいものに換えなくてはならないというものではありません。
洗ってずっと使われてはメーカーは儲けになりませんから、なるべく新しいものに換えるよう推奨しています。
でも洗って使っていくうちには、だんだんぺちゃんこになってきて薄くなってきます。
そうすると水がマットの中を流れずマットの上を流れていくようになり、濾過能力が落ちてきますのでその時は交換した方が良いでしょう。

  スポンジマット

硝化バクテリアはアンモニアを分解して無害な硝酸塩にしてくれる微生物ですが、水の中を漂って生活しているのではありません。
水槽のガラス面とか敷き砂とか飾り岩とかいろいろな物の表面に住んでいます。
消化バクテリアが良く育ってくれると、水槽内のいろいろな物の表面がびっしりと硝化バクテリアで埋め尽くされるわけです。
水槽という狭い場所で魚を飼うためにはそれでもまだ数が少ないので、それに加えて濾過器の濾材を必要としているのです。
硝化バクテリアは物の表面にくっついて生活する微生物なので、表面が多いほどたくさん増えることができるということになります。
そのためなるべく表面積が多くなるよう、表面がでこぼこの物を濾材としたり、穴が開いて隙間だらけのものを濾材とした り工夫されています。
スポンジは穴がたくさんあって中を水が流れていきますので、バクテリアをたくさん住まわせることができるとして昔から使われています。
スポンジマットの場合でも、長く使っていくとぬるぬるした感じになっていき水の流れが弱くなってきます。
そうするとスポンジ内部の硝化バクテリアの働きが鈍ってきますので、洗って水の流れをよくしてあげます。
スポンジは流水でもむだけで、簡単に詰まりを取ることができ何度も使えて経済的でしょう。


ハイキングにパックする方法

  サンゴ砂

海水魚飼育をするとき昔からよく使われていた濾材です。
サンゴ砂はサンゴが砕けて砂になったものです。
サンゴと言っても種類があり、全部が同じようには扱えないくらい違いのあるものです。
一般の人が普通、サンゴと呼んでいるのは宝石サンゴと造礁サンゴという種類のサンゴでしょう。
サンゴは左図のようにポリプと骨格が繋がったものでその境に口があります。
触手を動かして動物プランクトンを捕まえ、口から胃腔へ運んで消化していきます。
サンゴ全体の内、骨格は硬く動かない部分で、ポリプの部分は軟らかく動く部分のため、この部分をサンゴ虫と呼んでいます。
宝石サンゴとは、サンゴの指輪とかネックレスとか3月の誕生石とかに使われているサンゴで、骨格の部分が種類によりいろいろ� ��色をしていて、磨くときれいに光るサンゴです。
このサンゴは海の深いところに棲んでいるサンゴで、触手の本数が8本の種類です。
水深100mの深い場所に生息しているサンゴのため、水槽で飼育するということはまずありません。
これとは違いアクアリスト達がハードコーラルと呼んでいるサンゴは宝石サンゴと同じように触って硬いサンゴですが、造礁サンゴと呼ばれているサンゴです。
増えていって珊瑚礁を作るサンゴです。
このサンゴは太陽の光が良く届く、海の浅いところに住んでいて、ポリプの部分に褐虫藻という藻を棲まわせていて、褐虫藻の力を借りて生きています。
触手の数は6本で、骨格の色は宝石サンゴのように色は付いてなく、白色で磨いても光沢は出ません。
種類としては、ミドリイ� �とかオオバナとかハナガササンゴなどがあり、イシサンゴとも呼ばれています。

これに対し触ってやわらかい部分だけのソフトコーラルと呼ばれるサンゴがあります。
このサンゴは骨格を作らないため、ふにゃふにゃしていてイソギンチャクのようなものです。
サンゴはイソギンチャクのように移動することができないので、ソフトコーラルは動かないイソギンチャクのようなものです。
ソフトコーラルは必ずしも太陽の光が強くないと育たないというものでもなく、あまり光が当たらなくても育つ種類のものもたくさんいます。
種類としては、光が必要なものにウミキノコとかカタトサカとかディスクコーラルなどがいて、光をほとんど必要としないものにウミイチゴとかヤギとかトゲトサカとかチヂミトサカなどが います。
ハードコーラルや好日性のソフトコーラル、好日性のイソギンチャクは、私達人間が小腸の中にビフィズス菌とか乳酸菌などのバクテリアを棲まわせて、微生物の働きを借りて生きているのと同じように、褐虫藻という生物をポリプの部分に棲まわせていて、この生物に光合成をさせて生きています。
光合成をするためハードコーラルなどは、太陽の光が必要となります。
太陽光がハードコーラルの棲んでいる海底まで良く届くためには、透き通った海である必要があります。
そしてこれらのサンゴは栄養塩の少ない海に棲んでいます。
栄養塩とはコケとか藻とかの餌となるもののことで、栄養塩が多いと藻やコケが発生して水を濁したり、サンゴの表面に繁殖したりして、褐虫藻が光合成できなくなるのでサン ゴは栄養を得られなくなり死んでしまいます。
珊瑚礁があるということは、栄養塩が少ない、水がきれいな環境だといえます。
ハードコーラルが育って増えていくと、その骨格がどんどん重なっていき長い年月で珊瑚礁になります。
珊瑚礁ではサンゴの骨格から少しずつカルシウムが海水に溶けていき、絶えずアルカリ性を保っていけてるのです。
サンゴが砕けたサンゴ砂を濾材に使うということは、珊瑚礁と同じように少しずつカルシウムが水に溶けてくれてアルカリ性を維持できるため、海水魚飼育の濾材にサンゴ砂はとても適しているといえるのです。


  セラミック系ガラス系濾材

アンモニアを分解するためには、バクテリアの持っている酵素の力を借りなくてはならないため、昔からバクテリアをたくさん増やすことのできる濾材がいくつも考えられてきました。
微生物を増やして生物濾過が良くできると謳った製品が、いろいろのメーカーから売り出されています。
シポラックスとかバイオリングとかパワーハウスとかバイオボールとかの名前が付けられています。
バクテリアは物体の表面に付着して増えていきますので、表面積が多ければ多いほどたくさん増やせるということで、いろいろなものが工夫されて商品化されています。
サンゴ砂はその条件にあった良い濾材ですが、材質がカルシウムのため少しずつカルシウム分が水に溶けて、水を弱アルカリ性にしてしまいます。
このことは、 海水魚を飼育するにはとても適していますが、弱酸性を好む淡水魚の飼育には適していません。
アクアリストの中で、海水魚飼育は比率としてはわずかですので、多くの人が淡水で使える表面積の多い濾材を探してきました。
特別な土地の土や石を見つけてきたり、土や石を高温焼結したり、ガラスを特種処理したりしていろいろな製品が現在売り出されています。
形状も単純なボール状だけでなく、リング状にしたり特殊に変形させたりして工夫しています。
濾材は表面積が多いことと濾材の内部まで水がしみこみ、内部まで水が流れてくれることが理想です。
好気性バクテリアは酸素を呼吸してアンモニアを分解しているので、いくら内部まで表面積が広がっていて微生物がたくさん増えても、内部に水が流れてくれ なくては酸素不足となり働いてはくれません。
濾材は使っていくうちにデトリタスなどでぬるぬるしてきます。
デトリタスが濾材の表面を被ってしまうと水が流れにくくなり、濾過能力が落ちてきます。
水の流れを良くするためには定期的な水洗いが必要となります。
このほかにも麦飯石とかゼオライトなど天然にある岩を砕いて濾材にしたものもあります。
これらの石も細かい穴が多数開いていて吸着力があるためいろいろな種類のものが商品化されて売られています。
私の場合も濾材はセラミック系濾材、ガラス系濾材が主体で、違った製品を何種類か使っていますがどれが良いのかはよく解りません。
どれかに統一したとしてもあまり変わらないような気がしますが、海水魚ショップで変わった製品を見つ� �るとついつい試してみたくなり、種類が増えていってしまいました。
濾材の交換時期は半年おきぐらいを推奨しているものが多いと思いますが、私は5〜6年使い続けてみましたが別に効果が落ちてきているようには思えませんでした。

濾材の一例です。


1.水槽の立上期に発生するアンモニアは、活性炭で吸着させていった方が
  良いでしょうか?

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